就活とは、本来どのようなものなのか

彼らがまずはじめに、求めるもの

毎年、春になるとリクルートスーツに身を包んだ若者たちが、緊張した面持ちで街を歩いている。

行く先は、面接、あるいは会社説明会。彼らの多くが求めているのは、誰もが知っているような大手企業の内定だ。しかし、そう簡単にはいかない。そもそも日本における「大企業」が占める割合は、日本全体の企業数の0.3%で、その求人数は全新卒者数の10%に満たないのだ。

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溢れる情報、欠如する「選ぶ」という感覚

クラスで10人に1人といえば特別な存在なのに、就職活動においては、残りの9人になることがドロップアウト感につながる。なぜそうなってしまうのだろうか?

私が問題だと考えたのは、就活や会社に関する情報は十分すぎるほど提示されているいっぽうで、学生側にその「選び方」が準備されていないということ。星の数ほどある企業の中で、どこが自分と適合するのか、その判断基準を持った学生は一握りと言ってよく、多くの学生は知っている企業の中で、適しているのはどこか、という判断をしてしまう。

もちろんこれは、現状のシステムの問題でもある。皆が一斉にスタートして卒業するまでにゴールを迎えなければならない。この時限爆弾のようなシステムが企業から内定をもらえない学生の焦燥感を煽り、過度のプレッシャーとなり、中には就活鬱になる者もあらわれる。

「就活」とは本来どのようなものなのか?

就活は真剣にやればいいと思うし、やるべきだと思う、しかし、その決められたフォーマット上での成功を求めてしまうと、就活本来の目的を見失ってしまいかねない。「就活」はいつどこで始めたっていい。なぜなら、より良く働くための情報は、企業情報や会社説明会だけでなく、身の回りに、さまざまな形で転がっているからだ。

自分が本当にやりたいことは、漠然と企業や社会をとらえるだけではなく、「働く」ことのディテールを掴むことによって見えてくると私は考える。アルバイトやインターンシップはもちろんのこと、社会人と行うワークショップや就活をテーマにした街コン、座談会など、最近は実際に働いている人やその現場に触れる機会も増えている。こうした仕組みを活用して少しでも働くことのディテールを掴み取ってほしい。それだけでも、あなたの「選び方」は様変わりするはずだ。