地方創生が活発化するなかで、三菱地所の考える「街」とは?
記者三菱地所様は「街」という漢字を使っていらっしゃいますが、「街」というと、東京など人が多い場所のイメージです。地方創生や地方活性化の動きがあるなかで「街を豊かにする」というと、地方はターゲットになっていないような気がするのですが、三菱地所様の考える「街」とはどういうものなのでしょうか?
椋木よく質問を受けるのですが、たしかに「街」というとそういうイメージがありますが、田舎に丸の内みたいな街をつくることは現実的ではないですよね。マーケットも存在しないし、地方創生につながるものではないですし。
記者はい。
椋木オフィスビルや商業施設だけが開発ではなくて、さまざまな「まちづくり」があります。宮古島で空港の民営化プロジェクトに参画したり、東北の食材を使って丸の内のレストランのシェフが監修した缶詰を作ったり。他にも、大規模なニュータウンの開発をしていて、仙台の泉パークタウン等の実績もあります。携わり方はいろいろあると思っているので、その地域にあわせた方法を考えて、地方活性化に取り組んでいます。
記者なるほど。ありがとうございます。
「人がいるから」作るのか、「人を呼びたいから」作るのか
記者行政からの委託を受けた際に、人がいるからその建物をつくるのか、それとも人を呼びたいからつくるのか、どちらのケースが多いのでしょうか?
吉田まず、行政から委託を受けるわけではないんですね。それぞれの都市に上位計画みたいなものがあって、行政としてこの街をどんな街にしたいか?5年後10年後どんな姿にしたいかというプランがあります。それに基づいて、こういう計画があるからこういうものをつくっていこう、オフィスやテナントはこういうものを誘致しよう、と計画していきます。
記者委託を受けるのではなくて、一緒につくっていくイメージですね。
吉田そうですね、行政がどんな考えを持っているのか確認しながら、考えていきます。
人事の前は商業施設の開発担当だったという吉田さん。やりがいも難しさもリアル
日本の街の国際競争力をあげていく課題は?
記者長い歴史を持つ三菱地所様ですが、これから日本の街の国際競争力をあげていくために取り組まれていることはありますか?
吉田1970年代から海外には出ていて、日本に拠点を持っていない企業へ丸の内をアピールするということはしています。そのために私たちができることは、外国人の方も働きやすい就業環境を整えたり、事業機会を引き合わせることだと考えています。
記者すでに海外の方が働きやすい環境が整っているんですか?
吉田例えば、アメリカだとヘルスケアに力を入れていて社内にジムがあったりするんですが、日本ではなかなかそういう習慣がないので周辺にランニングステーションをつくったり、文化の違いに街をあわせていくことも必要だと考えています。もっと細かいところでいうと、備品の規格サイズも違うので机のサイズや電話機を変えたり、本当にさまざまです。
記者そんな細かいところまで!
吉田意思決定するための設備や情報は些細なことでも配慮するようにしています。
説明会で話せない「ココだけの話」聞かせてください!
記者せっかくなのでという言い方もおこがましいですが…説明会で大勢を相手には言えない内容というか、意図的に話していないことなどはあれば教えてください。
椋木基本的には全部自然体でお話ししています。仮にそうやったとして、絶対に後でミスマッチが起きるので…。採用は営業活動ではないので、学生さんにはいろんな会社を見てもらって、自分のやりたいことや考え方にマッチする会社を選んでもらえればいいと思っています。
吉田人事に来る前、忙しくてやりがいもあったのですが、学生さんから見るとやっぱり仕事の中身が見えにくいというか、楽しい部分だけ見えがちなんですね。開発って夢があってカッコイイ~とか。確かにそれはそれであって、私たちも伝えるんですけど、当然その裏には辛いこともあります。地元の方の大切な土地に新しい建物をつくることもあって、もう本当に人生をかけた反対を真に受けることもあります。でも、それだけ責任の重い仕事なんだと知った上で、それでもやりたいという人に来て欲しいですね。
どういう人が三菱地所に向いていますか?
記者三菱地所にはこういう人が集まっている、またこういう人が向いている、という特徴はありますか
吉田いろいろな人がいますけれど…共通するのは、話すことを厭わない人、でしょうか。クライアントや協力会社、地域住民の方とさまざまな話をしながら、特には説得しながらすすめていくので、しつこくとも伝えていける人が多いです
記者向いている人は?
吉田一人で成果を追うのではなくチームで一丸になってやれる人ですね。社内外の力を借りつつ、一緒にやっていきましょうよと巻き込んでいける人が向いていると思います。
気になる女性の働き方を斬る!こんな時じゃないと正面から聞けない気がする
女性の育児休暇取得後の復帰率100%
記者1つの物件でいろいろなことを総括的に経験できる仕事ですが、やはり場数と経験がものを言うように感じます。女性はどういう働き方をしていますか?
吉田法的に決まっている産前産後の休暇はもちろん、当社ではその後の育児休暇制度もあります。育児休暇取得後の復帰率は100%で、だいたい1年~1年半休んで復帰するケースが多いですね。
記者その後も、小~中学校まではフルでは働けないように思いますが、皆さんどうされていますか?
吉田当社はフレックス制を導入しており、時短で働いている方もいらっしゃいます。その方のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
記者だから皆さん100%の確率で戻って来られるのですね。
学生さんへのメッセージ
記者最後に、就活をはじめる学生にひとことお願いします。
吉田私は、想像力が大事だと思っています。本当にこれをやりたいのか?ここで何をやりたいのか?考え続けて、本気でワクワクすることに向かって欲しいです。社会人になっても考え続けることは大切なので、それがじっくりできる今の時間はすごく貴重です。
椋木組織は人の集合体でしかないと思うので、広くたくさんの人に会って、たくさん話を聞いて欲しいですね。会社に入ると「○○社の○○さん」になってしまうので、フラットに話が聞ける今、肌でたくさんのことを感じてもらえたらと思います。
三菱地所 椋木様、吉田様、本日はありがとうございました!!