5年10年という長いスパンのプロジェクト。モチベーションを保ち続けるコツとは?

記者例えばひとつの施設を建てるとなったときに、何もないところから建物が完成するまで5年10年という長いプロジェクトもあると思います。その間ずっとチャレンジ精神を持ち続けながら働くのは難しいのかなと思うのですが、いかがでしょうか?

椋木まず、それだけ長いプロジェクトでは、全てのフェーズに携わることはが稀だと思います。各フェーズにおいても非常に多岐に渡る仕事内容で、関わる人の数も非常に多い。常に新しいことに取り組む中で学びの連続ですので、きっとモチベーションを保ち続けることができると思います。

記者そういうものなのですね!ありがとうございます。

なぜ「不動産」という舞台を選んだのか?三者三様の理由

記者「人の生活を豊かにする」というテーマの中で、なぜ不動産という舞台を選んだのでしょうか?

五代学生時代は建築を専攻していました。建物に携わる職能につきたいと思う中で、自分自身でカタチをデザインするよりも、どういうものをつくってどういう人に使ってもらうのか、どういう環境を提供して人々の生活を豊かにしていくのか、ということに興味がありました。そういうことができるフィールドはどこかと考えたときにディベロッパーという存在を知って、その中で三菱地所が自分にとってすごく魅力的だったんですよね。

山村私は完全に文系人間ですが、昔から学校生活や大学のゼミやアルバイトを通して、何をするにもその場の雰囲気や空気―どういう人が集まって、どういう場所でどんな雰囲気の中でやるのかって大事だなと感じていました。その場の空気が結果に良い影響を与えたり、逆の場合もあったり。不動産は、住むにしても遊ぶにしても働くにしても、常に“場”作り出すもので、人のモチベーションに大きな影響を与える重要な要素だと思うんです。“場”を通して活気や熱気をつくれるところに魅力を感じてそういう仕事がしたいなと思うようになりました。

椋木私の場合も、建築を専攻してました。とある授業で、教授の方から「このクラスの中で半分の学生は建築に向いてないので、別の道を考えたほうがよい道を改めなさい。」と言われて。これは自分のことを言われていると感じました(笑)。教授の方は、建築の厳しさを伝えたかったんだと思いますが、確かに周りにも才能にあふれた人は数多くいる中で、個の力で戦うのは厳しいと感じました。私は部活でチームスポーツに取り組んでいて、自分だけの力じゃなくて組織で良い結果を出すことの素晴らしさを経験していたので、個の力ではなく、組織の力を発揮できる仕事の方が向いているのではないかと。

記者部活がきっかけだったんですね。

椋木そうです。当時は不動産というと金融商品というイメージがありました。しかしディベロッパーは作って終わりではなくて、その後街を育てていくという責任を負っているので、安全性や細部にわたる強いこだわりがあり、ものづくりに対する意識が非常に強いと感じました。。そういった部分が自分のやりたいことと合致しているのではないかと思いました。

入口は違えど、その想いには通じるものを感じた。

「建物が生き物になる瞬間」にやりがいを感じる

記者実際に入社してみて、どんなときにやりがいを感じましたか?

五代今いろいろ頭に浮かんでいますが……私は2009年入社なのでちょうどリーマンショック直後の入社でした。当時担当していた都内の大型オフィスビルは外資系テナントが多いビルだったので、M&Aがあったりで都内の拠点集約により転出するテナントさんが同時期に複数発生しました。結果、空室率が最大で30%になってしまったんです。

記者30%!それは大変ですね…。

五代そうなんですよ、危機的状況でした。なんとかして埋め戻さないと!リーシングの担当部署と連携しながらいろいろあたっていたんですが、ちょうど既存のテナントさんから増床したいという希望を頂いたり、新規のテナントさんの誘致に成功したりして、何とか早期の埋戻しができました。既存のテナントさんのニーズをいち早く拾えて増床につなげられたのは、普段からの密なコミュニケーションがあってこそなんだなと、このとき痛感しましたね。

山村私もプロパティマネジメント時代の経験です。テナントさんがビルに入居したら終わりではなく、その後こそより良いオフィス環境をサポートし続けながらお客さんとの関係性を大切にしていくところが地所のビルの良さだと思っていて。日々の積み重ねを通じて、お客さんに「ここは本当に良いビルだね。このビルでもっと事業を拡大していきたい。」と言って頂きグループ会社も集約頂くことになったんです。そのオフィスを造る工事では、お客さん・設計会社・施工者会社等と、それまでの信頼関係があるからこその本音やこだわりをぶつけ合うことができ、完成したオフィスを見て全員で最高の達成感を味わうことができたのがいい経験でした。

椋木私は住宅の開発をやっていたので(詳しくは前回記事参照)長いプロジェクトで産みの苦しみを味わいながらも建物が完成したときもそれは素晴らしい達成感があります。しかしその少し後に現場を見に行くと。そこに実際人が住み始めて、一軒一軒あかりが点く。公園で子どもたちが遊び始める。生活が生まれるのです。自分にとっては実家の思い出は非常に温かいものですがこの子たちはここが実家になるんだと思うと何とも言えない感動を覚えると同時に、その仕事の責任の大きさを感じました。建物が生き物になる瞬間にやりがいを感じましたね

記者とてもよく伝わります。ありがとうございます。

自分の作った街が誰かにとって大切な場所になるってすごく素敵だと思う。

求める人物像。人事的には「人間力」。現場的には…?

記者求める人物像はありますか?

椋木三菱地所社員に求める人財像として5つの力が必要だと言っています。①人間力 ②不動産力 ③仕事推進力 ④経営力 ⑤グローバル対応力。この中で最も大事なのは人間力だと考えています。多様な関係者と一緒に物事を作り出していくビジネスモデルであり、人間力はすべての土台になります。

五代同感ですね。今あったように多くの関係者と仕事を推進していくので、いろいろと気が利いて周囲への配慮ができる人がいいですね。私自身が至らないところだらけなので、そこを埋めてくれる後輩が欲しいです(笑)。

山村チームでやっていく仕事なので、チームワークや輪を大事にできる人がいいですね。そして今までと同じではなく新たなフィールドに進んで飛び込んでいける人。

記者なるほど。

他社と比べて三菱地所の「強み」はここ!

記者他社と比べて貴社の強みは何でしょうか?

五代まず、グループ会社の「総合力」ですかね。ラインナップも豊富ですし。例えばビルの開発計画においてプロジェクトチームとして動く際に、設計や管理など各フェーズを通じて目指す方向性や価値観を共有した人たちでプロジェクトを推進できるので、アウトプットもこだわりを感じられるいいモノが出来上がっていると思います。

椋木街としての強みでいうとやはり「丸の内」ですね。単体のビルや商業施設ではなくて街としてビジネスを展開している。また1890年に丸の内を購入してからの長い歴史の中で積み重ねてきた歴史やノウハウは他にはない大きな強みです。

五代ノウハウの蓄積は本当にすごいと思います。ビルの設計や安全管理のガイドライン等を体系立ててルールブック化したものがあるのですが、本当に細かなところまで意識を巡らせて作られており、100年以上東京のビジネスセンターを開発して進化させてきた経験の積み重ねがないと作れないものだと感じました。

記者すごいですね…!ありがとうございます!

エントランスにある模型。100年以上かけて草ボーボーの丸の内をビジネスセンターに育てあげた。

由々しきビルの空室率問題。オリンピックを迎えるにあたって、さてどうなる?

記者オリンピックを迎えるにあたってどんどんビルの空室率が高くなる、というようなニュースを見たのですが、何か対策されていることはありますか?

山村今現在は空室率が低い状態が続いていますが、今後オリンピックに向けて2018~2019年頃に大型供給があるので空室率が上がる予想という話ですよね。

記者はい。

山村東京駅周辺でもいくつかの開発が予定されていますが、単に今までと同じものを供給するのでは他のエリアに負けてしまいます。最近ではサービスアパートや温泉等新しい機能を盛り込んだり、ベンチャー企業の支援施設や色々な属性の人が交流できる場等を備えたりしており、より働きやすく様々な人が集まる、どこよりも熱気と活気に溢れる街となるようにしたいですね。

三菱地所 椋木様、五代様、山村様本日はありがとうございました!!

もしも自分がここに入社したならば?想像力を働かせて質問をぶつけてみるべし!

取材先企業様

三菱地所株式会社

  • 事業内容オフィスビル・商業施設等の開発、賃貸、管理、収益用不動産の開発・資産運用、住宅用地・工業用地等の開発、販売、余暇施設等の運営、不動産の売買、仲介、コンサルティング
  • 資本金141,659,200,321円(2016年8月31日現在)
  • 本社東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル
  • 従業員数737名(2016年8月31日現在) 連結:8,474名
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